自賠責保険の基礎知識④自賠責保険に休業損害はある?【計算方法】
第4回目は自賠責保険の休業損害について解説していきます。
自賠責保険の基礎知識|休業損害とは?
交通事故の損害賠償は大きく分けて、治療費・通院交通費・葬儀費用などの積極損害、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料の精神的損害、休業損害・逸失利益の消極損害の3つに分けられます。
交通事故の怪我によって休業を余儀なくされ、得られるはずだった収入を補填するものが休業損害・休業補償です。
休業損害と休業補償は混合されがちですが、実はそれぞれ請求できる条件や金額が異なります。
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休業損害 |
休業補償 |
請求先 |
自賠責保険/任意保険 |
労災保険 |
対象範囲 |
交通事故に遭い休業を余儀なくされた際に、得られるはずだった収入の減少分を請求することができます。 |
勤務中や通勤中の、負傷、疾病、障害または死亡(業務災害・通勤災害)が原因で賃金を受け取れない場合に支払われる補償です。
※業務中・休憩時間中・出張中・作業の準備中・後始末中・開始前の待機中などに起きた労災は休業補償給付、通勤中に起きた労災は休業給付の対象となります。 |
対象となる期間 |
交通事故が原因で休業をした期間が支払いの対象となります。 |
休業の4日目から支給されます。 |
自賠責保険の基礎知識|休業損害の補償額はいくら?【計算方法】
自賠責基準の場合、1日あたりの損害額を原則6,100円として算出します。
日額6,100円×認定休業日数
※医師の指示による休業であることを示す必要がありますので、診断書には休業が必要であることを明記してもらいましょう。
収入の実態が6,100円を超えていることを立証できれば、1日当たりの上限を19,000円まで引き上げることができますが、自賠責保険には限度額が定められていますので、休業損害をはじめ、治療費や入通院慰謝料などの合計が限度額を上回ってしまった場合には、自賠責保険からは補償されません。
自賠責保険の限度額を超えた場合は任意保険に請求することになります。
任意保険は、自賠責保険のように1日当たりの支払い基準が定められておらず、各保険会社ごとに支払い基準が設けられています。
1日あたりの基礎収入×休業日数
※1日あたりの基礎収入の求め方:交通事故前の3ヶ月分の平均給与額÷90日
この時、適正な休業損害を受け取るために重要となるのが休業損害証明書です。
休業損害証明書は事故が原因で収入が減ったことを証明する重要な書類です。
休業損害証明書は勤務先に依頼して作成してもらいましょう。(派遣社員の方は登録している派遣会社に依頼してください)
なお、休業損害は就労者以外の人には認められていないため、専業主婦や学生は対象外と思われがちなのですが、専業主婦や学生も休業損害を受け取ることができます。
家事従事者(専業主婦)は法律上、「給料をもらうに値する価値がある」とされているため、事故による怪我で家事が出来なくなってしまった場合、休業損害を受け取ることができます。
また学生の場合、原則として休業損害は認められていませんがアルバイトなどの収入があれば認められる可能性がありますし、事故によって就職が遅れてしまった場合、内定先の給与や賃金センサスの平均給与額を基礎として、休業損害が認定されたケースもあります。
※賃金センサス…厚生労働省が実施している賃金に関する統計として最も規模の大きい賃金構造基本統計調査の通称です。
自賠責保険の基礎知識|休業損害は有給休暇や土日祝は対象外?
交通事故に遭い、有給休暇を使って病院などへ行ったという方も多いかと思います。
有給休暇は給与の100%が支払われますので、休業損害の対象に含まれないと思われるかもしれませんが、事故に遭わなければ消化することのなかった有給休暇ですので休業損害の対象となります。
また、土日祝が就業日であった場合は、休業損害の対象となります。
まとめ
交通事故の損害賠償金は、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの基準で算出されるのですが、自賠責保険基準は最低限の補償を目的とした保険のため、怪我の状況によっては賄いきれないということも珍しくありません。
任意保険に加入していれば自賠責保険で賄いきれない分を補ってくれますが、基本的には自賠責保険基準と同等程度しか補償してくれませんので、補償内容に大きな期待はできません。
そのため、しっかりとした補償をご希望であれば、弁護士に依頼し弁護士基準で算出してもらうことをお勧めします。
弁護士基準は過去の判例を元に損害賠償金を請求してくれますので、適正な損害賠償金を手にすることができます。
また、弁護士へ依頼することで、煩雑な手続きや交渉をすべてお任せすることができますので、安心して治療に臨めるというメリットもあります。
事故なびは、交通事故案件専門弁護士を無料でご紹介させて頂いております。
交通事故対応は、弁護士から的確なアドバイスを受けること、代理人として相手との交渉を任せる事が非常に有効です。
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2020.12.10
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