交通事故によるケガで最も多いのが、むち打ちと呼ばれる首の捻挫です。むち打ちは長引きやすいため、症状によっては整骨院に長期通院するケースも考えられます。
しかし、整骨院は病院ではないため、通院にかかる費用を治療費として認められない可能性があります。整骨院への通院費用を治療費として認めてもらうには、どうすればよいのでしょうか。

この記事では、交通事故のケガで整骨院に通う際の注意点、整骨院選びのポイントをご紹介します。

整骨院では、柔道整復師という資格を持つ施術者がマッサージなどの手技で施術を行います。柔道整復師は医師ではないため、整形外科のような治療や投薬はできません。そのため、整形外科での治療と併用して整骨院を利用することになるでしょう。整骨院での施術が必要な処置と認められれば、交通事故の加害者へ治療費を請求できます。

 整骨院での治療は、手や指で筋肉をほぐしたり、関節をテーピングで固定したりと、痛みやコリを和らげることが目的です。

交通事故のケガに多いむち打ちの治療には、以下のような方法があります。

 ◆手技療法

手技によって患者さんの体をしっかりと揉み解して刺激を与えることで、血管の拡張を促し血液の循環を改善します。痛みの緩和や筋肉収縮力の回復、疲労の回復を早める効果があります。

 ◆物理療法

電気医療機器や超音波などの物理的なエネルギーを使い、患部の痛みを和らげます。

 ◆運動療法

専門の器具などを使い筋肉や関節を動かし、低下した筋力を回復させます。筋力を高めることで、本来の運動機能を取り戻すことが目的です。

 ◆テーピング療法

関節の固定や動きの制限により、患部の痛みを和らげ骨格構造を保護します。ケガの治療としてはもちろん、ケガの予防や悪化を防ぐためにも使われる療法です。

交通事故のケガで整骨院に通う場合は、以下の点に注意しましょう。

 

◆整形外科と併用し、医師の指示・許可をもらう

ケガの治療や投薬は病院の医師にしかできないため、整形外科と併用することになるでしょう。また、後遺障害を申請する際に必要な後遺障害診断書は、医師にしか書くことができません。そのため、整骨院のみの通院では診断書を手に入れることができないのです。

後遺障害診断書に整骨院での施術が有効であるという旨を記載してもらえれば、後遺障害慰謝料として通院にかかった治療費などを請求できる可能性が高まります。整骨院にかかる場合は、整形外科との併用を続けていきましょう。

ただし、医師に整骨院への通院を認めてもらうというのは、医師が整骨院への通院を指示・許可する権限があるということではありません。医師によっては通院を良く思わないケースもあるため、あくまで「反対はしない」という意味で同意を得ておいた方がよいということです。

 

◆症状固定まで整形外科への通院を続ける

症状固定とは、治療を継続しても症状の大幅な改善が見込めない状態のことで、症状固定の時期は医師が判断します。症状固定と判断された後も症状が続く場合は、交通事故の加害者へ後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できます。その際に必要となる後遺障害診断書は医師の記入が必要なため、症状固定するまでは整形外科への通院を続ける必要があるのです。

交通事故のケガの治療で通う整骨院は、以下のポイントに注意して選びましょう。

 ◆整形外科の医師との連携が取れている

通院する整骨院は、整形外科の医師との連携が取れているところを選びましょう。後遺障害認定を申請する際に必要な診断書は医師が作成するものですが、医師と整骨院で連携が取れていれば、整骨院での治療や症状などを具体的に記載してもらえます。その後の慰謝料請求で整骨院への通院費用を確実に請求するためにも、医師との連携がスムーズな整骨院をおすすめします。

 

◆通院しやすい位置にある

整骨院に何度も足を運ぶことを考えて、自宅や仕事場から通院しやすい位置にある整骨院を選びましょう。通院回数が少なくなると、受け取れる慰謝料の額が変わってくる可能性があります。土日祝日や遅くまでの対応が可能な整骨院など、自分が通いやすい整骨院を選び定期的な通院を心がけましょう。

 

◆むち打ちの治療に詳しく、治療内容が充実している

交通事故のケガに最も多いのはむち打ちと呼ばれる症状です。むち打ちの治療に詳しく、数多くのむち打ち施術の臨床経験を持つ整骨院を選びましょう。

交通事故のケガで整骨院を利用する場合は、整形外科の医師にも伝え、病院と併用しながら通うことをおすすめします。整形外科にも通うことは、その後の後遺障害認定や慰謝料請求の際に必要となってくるため、整骨院のみの通院は避けた方がよいでしょう。

 

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