交通事故が起きた場合、事故の加害者は必ず自身が加入する保険会社へ事故連絡する必要があります。一方、被害者であれば事故連絡する必要はないと考えられがちですが、被害者側であっても保険会社への連絡はしておくべきです。

そこで今回は、交通事故の被害者であっても保険会社への連絡が必要な理由をお伝えするとともに、事故連絡で報告する内容やその後の手続きの流れについて解説していきます。

交通事故が起きると、負傷者の救護や警察への連絡、事故現場の状況確認などをすぐさま行う必要があります。保険会社への事故連絡は事故現場での対応がひと段落してからで構いませんが、交通事故の加害者はもちろん、被害者であっても自身が加入する保険会社への報告はしておくべきです。

 交通事故の被害者も任意保険会社へ事故連絡すべき理由は次のとおりです。

 

1.    被害者にも事故の責任が問われる可能性があるから

 交通事故の場合、過失に関係なくケガを負った側は「被害者」、ケガを負わせた側は「加害者」となるのが一般的です。つまり、被害者だからといって事故の責任がまったくないとは限らず、被害者の方が加害者より過失割合が大きいケースもあります。

 

そもそも交通事故でどちらか一方に100%の責任があるとみなされるケースは少なく、動いている自動車同士の事故であれば程度の差はあれどちらにも責任があると判断されるケースがほとんどです。明らかに相手側の責任が問われる事故だったとしても、後から被害者側にも過失があったと判断される可能性があります。その場合は被害者自身が加入する保険も利用することが考えられるため、被害者であっても保険会社への事故連絡はしておくべきなのです。

 

2.   加害者が任意保険に加入していない可能性があるから

 自動車の保険には、強制加入の「自賠責保険」と任意加入の「任意保険」があります。自賠責保険は自動車やバイクを所有するなら必ず加入しなければならない保険ですが、任意保険には加入義務がありません。しかし、自賠責保険で補償できるのは対人のみであり、自動車の修理費などの物損部分は対象外となります。

 

多くのドライバーは任意保険にも加入していますが、強制ではないため加入していないドライバーもいます。交通事故の加害者が任意保険に加入していない場合、自賠責保険だけでカバーできない部分は被害者側の保険を使うことが考えられるため、被害者も事故報告をしておくべきです。

 

交通事故の被害者が事故報告で任意保険会社へ報告する主な内容は次のとおりです。

なお、事故連絡で聴取される内容は保険会社によって異なります。基本的には保険会社から聞かれたことを答える形式であり、確認できていない項目があればその旨を伝えましょう。

 

●交通事故に関する内容

・交通事故の日時

・事故現場の住所

・事故状況

・届出した警察署

 

●負傷者に関する内容

・負傷者の氏名、住所、電話番号

・負傷者が治療を受ける病院名、住所、電話番号

・負傷者の症状

・運転手（車の所有者）との関係

 

●自分の車に関する内容

・運転手の氏名、住所、電話番号

・運転手の免許証番号

・自賠責保険会社名

・自賠責保険の証明書番号

・修理工場名、住所、電話番号

 

●相手の車に関する内容

・運転手（所有者）の氏名、住所、電話番号

・車名、登録番号

・修理工場名、住所、電話番号

 

 

事故連絡から保険金支払いまでの一般的な流れは次のとおりです。

 

1.       事故連絡：保険会社が契約内容や事故状況、損害の程度について確認する

2.       初期対応：支払い対象となる保険金、提出書類、今後の流れに関する案内がある

3.       事故に関する確認：自動車の損害状況や事故原因、相手の治療状況などが確認される

4.       示談交渉（契約者側にも過失がある場合のみ）

5.       進捗報告：示談交渉の結果などが報告される

6.       保険金の案内通知：支払い対象となる保険金の内訳が案内される

7.       保険金の支払い

 

●過失がなければ保険会社は示談交渉に介入できない？

保険会社が示談交渉できるのは、契約者側にも過失責任がある場合のみです。契約者に過失がなければ賠償責任が発生しないため、保険会社が示談交渉に関わることはできません。

交通事故が発生した場合、事故の被害者であっても自身が加入する保険会社への連絡は怠らないようにしましょう。被害者にも事故の過失が問われるケースは多く、また、相手が任意保険に加入していないケースも考えられます。事故現場での対応が終わり次第、できるだけ早めに報告することを心がけましょう。

 

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