②高齢者による交通事故が起こる原因
今回は、高齢者による交通事故の特徴や事故が起こる原因、高齢ドライバーの事故を防ぐための対策をご紹介します。
高齢者による交通事故の特徴
日本では政府による交通事故減少に向けた取り組み、具体的には道路交通環境の整備、飲酒運転の厳罰化などによって、交通事故の発生件数は減少し続けています。一方、高齢者による交通事故の発生件数には明確な減少傾向が見られず、ほぼ横ばいの状態が続いています。
交通事故全体に占める高齢者の事故割合が増加しているのは事実ですが、これは高齢化により高齢ドライバーの人口が増加したことが原因です。人口増加の影響を考慮しなければ、他の世代と同様に高齢者による交通事故も減少傾向にあります。
しかし、近年高齢者による交通事故は社会問題化し、世間から厳しい目が向けられています。その理由は、高齢ドライバーによる交通事故は重大な死亡事故につながるケースが多く、痛ましい事故のニュースが続いているからではないでしょうか。
事実、75歳以上の高齢者による死亡事故件数は、75歳未満のドライバーと比べ2倍以上発生しているというデータがあります(免許人口10万人あたりの件数)。さらに、高齢者の死亡事故の特徴としては正面衝突が多く、そのほとんどが運転操作ミスによるものだといわれています。
高齢者による交通事故はなぜ起こるのか
高齢者による交通事故の原因として考えられるのが、加齢によって起こるさまざまな身体的変化です。その具体例は次のとおりです。
●身体能力の低下
運転中の危険を回避するには、危険の認知からブレーキの判断、実際の操作までを素早くおこなう必要があります。しかし、加齢によって視力が低下すると視野が狭くなるため、すぐに危険を認知することができず危険回避までの動作が遅れてしまいます。
●判断能力の低下
判断能力が落ちることでとっさの判断ができなかったり、判断ミスを引き起こしたりすることがあります。危険を察知しても実際に操作するまで車は進んでしまうため、危険回避行動が遅れてしまうと交通事故の発生につながりやすくなります。
●注意力の低下
高齢者は長年の運転経験から、自分の運転技術に自信を持っている方は少なくありません。しかし、その自信は注意力の低下を引き起こす可能性があります。
加齢による身体的変化は避けられないものであり、若い頃と比べるとどうしても身体能力や判断能力が落ちてしまいます。運転技術を過信せず、常に慎重に運転する心がけが大切です。
●認知症
認知症患者や認知症の疑いがある高齢者による交通事故も発生しています。認知症を患うと車を安全に運転することは難しく、認知から判断、操作までの一連の危険回避行動を正常におこなえない可能性があります。認知症の疑いがあれば運転させない、免許返納を勧めるなど、家族や知人の声かけも必要になるでしょう。
高齢ドライバーの交通事故を防ぐには
高齢ドライバーの交通事故を防ぐには、運転者本人の意識とまわりからの声かけが必要です。身体能力や判断能力の変化を自覚し、車間距離を十分にとる、長時間運転は避ける、一定時間ごとに休憩をとるといった対策をとり、自分の運転技術を過信しないことが大切です。運転者本人が気をつけるのはもちろんですが、加齢による身体的変化は自分では気づきにくい場合もあるため、家族や知人が気にかけてあげることも必要になってきます。
また、最近の車は安全性能が充実し、障害物を感知して自動ブレーキが働く機能、ペダル踏み間違い時に加速を抑制する機能などがあります。こうした安全性能だけに頼りきってしまうのは危険ですが、自分自身がしっかりと安全運転を心がけているのであれば、運転リスクの回避につながる心強い味方といえるでしょう。
まとめ
超高齢化社会の日本では高齢ドライバーが増えており、それにともない高齢者による事故割合も増加傾向にあります。高齢ドライバーの交通事故が起きるのは、加齢による身体能力や判断能力、注意力の低下が原因だと考えられます。交通事故を防ぐにはこうした身体的変化の自覚が必要であり、これまで以上に安全運転を意識する心がけが大切です。自分では自覚しにくい部分でもあるため、まわりの人が気にかけたり、声をかけたりできる環境が理想的です。
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2021.07.01
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