交通事故でケガをしてしまった場合、病院や整骨院での治療を受けることになります。その中で治療方針や技量に不満を感じた場合、ケガの治療中であっても転院を考える人は少なくありません。他の病院や整骨院への転院は可能ですが、転院によるメリットやデメリットを理解し、納得した上で手続きを進めていくことをおすすめします。

この記事では、交通事故によるケガの治療中の通院に必要な手続きや注意点、他院に転院するメリット・デメリットをご紹介します。

交通事故によるケガの治療中であっても、他の病院や整骨院への転院は可能です。転院後の治療が必要だと認められれば、治療費や慰謝料などもこれまで通り加害者側の保険会社へ請求できます。

 

ケガの治療中に転院を希望するのは、以下のようなケースが考えられます。

 

・病院が自宅から遠い場所にあり通いにくく、負担を感じている

・病院の医師と治療方針や相性が合わないと感じている

・長く治療を続けてきたがなかなか治らないため、他の病院の治療を検討したい

 

特に通院に関しては、治療費や損害賠償の請求に影響が出る可能性があります。なぜなら、通院回数が少ないと加害者側の保険会社から治療費の打ち切りを打診されることがあるため、定期的な通院を続けることが大切だからです。

 

また、ケガの症状や状態によって、現在通っている病院では適切な治療が受けられなくなるケースがあります。その場合は医師とも相談した上で、他の病院への転院を検討することになるでしょう。

交通事故のケガの治療中に転院する際は、以下の手続きが必要になります。

 

◇現在通院している病院の医師に紹介状を書いてもらう

他の病院や整骨院に転院する場合は、現在かかっている病院の主治医に紹介状を書いてもらいましょう。主治医も転院を了承しているという証明になるため、保険会社に継続して治療費や損害賠償を請求できる可能性が高いです。また、ケガの診断書には治療の中止や治癒ではなく、転院と明記してもらいましょう。

 

◇加害者側の保険会社へ転院する旨を伝える

他の病院や整骨院に転院する旨は、必ず加害者側の保険会社へ伝える必要があります。治療費や損害賠償を支払う保険会社としては、本当に必要な治療なのか確認したい意向があり、診断書などの情報を開示する同意書の提出を求められることがあります。その場合は保険会社へ同意書を提出し、転院する旨を伝え了承を得ましょう。

 

また、治療を続ける中で何度も転院を繰り返すのはおすすめできません。転院は被害者側の希望で行えるものではありますが、何度も転院することで治療が断片的になる恐れがあります。転院先の医師としても、短期間しか治療の経過や症状を把握できないため、診断書の作成を拒否される可能性もあるのです。

転院を考える場合は、しっかりと熟慮した上で慎重に決断しましょう。

他の病院や整骨院に転院する場合、以下のようなメリット・デメリットがあることを把握しておきましょう。

 

◇転院のメリット

これまでの通院先が遠方にあった場合は、転院することで通院負担を減らすことが可能です。通院にかかる時間や労力が不要になるため、精神的・肉体的な負担が大きく削減できるでしょう。

また、交通事故の後遺症に詳しい病院や整骨院に通院すれば、その後の後遺障害申請の際により適切な診断書を書いてもらえます。後遺障害が認定されれば、慰謝料や逸失利益といった損害賠償を加害者に請求できます。認定の際に診断書は非常に重要な位置づけとなるため、交通事故対応が可能な病院や整骨院への転院は大きなメリットとなるでしょう。

 

◇転院のデメリット

病院や整骨院を転院したからといって、必ずしも治療の効果が出るとは限りません。実際に治療を行なってみなければわからないことも多いため、通院を検討する被害者には慎重な判断が求められます。

また、転院するには病院探しから始まり、医師に紹介状を書いてもらったり、加害者側の保険会社に承認を得たりと、さまざまな手順を踏む必要があります。これらの手続きが被害者のストレスになる可能性があることも理解しておかなければなりません。

交通事故のケガの治療中であっても、他の病院や整骨院への転院は可能です。しかし、主治医に紹介状を書いてもらったり、保険会社に転院の旨を伝えたりと、転院前にはさまざまな手続きが必要になります。転院に伴うメリットやデメリットを理解した上で、転院するかどうか判断することをおすすめします。

 

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