自賠責保険の基礎知識③被害者請求とは?手続きのやり方や必要書類が知りたい!
第3回目は被害者請求について解説していきます。
自賠責保険の基礎知識 被害者請求とは
自賠責保険の請求方法には被害者請求と加害者請求の2種類あります。
交通事故に遭った際に被害者が自ら、自賠責保険会社に対して後遺障害申請や保険金の請求を行う手続きのことを被害者請求と言います。
通常は加害者側の保険会社に手続きを任せる加害者請求(事前認定)が一般的ですが、加害者が被害者に対して賠償金を支払わない場合などには自ら申請することができます。
自賠責法第16条「保険会社に対する損害賠償額の請求」にその権利が認められています。(16条請求とも言われます)
加害者請求(事前認定)の場合、病院から受け取った診断書などを加害者が加入している保険会社に提出することで手続きを一任することができるのですが、被害者請求の場合、診断書や事故証明などを被害者自ら用意し自賠責機構に提出しなければいけません。
しかし、加害者の保険会社に一任する場合、手続きの内容が不透明となり被害者の事情が反映されるとは限らないという点や(後遺障害の認定率を高める配慮は期待できない)、保険金は示談が成立しないと受けとれないといったデメリットも存在します。(事前認定で等級認定された場合は結果通知と共に保険金を受け取れます)
なお、被害者、加害者というと、事故を起こした側、起こされた側と思いがちですが、被害者と加害者の区別はどちらに過失責任が多いかというのは関係なく、怪我をした方が被害者となります。
例えば、停車している車に背後から車が追突した場合、過失割合は0:10となりますが、衝突した側が怪我をした場合、衝突された方が加害者という扱いになります。
なお自賠責保険は人身事故の対人賠償のみとなっていますので、被害者請求を行えるのは怪我をしたときのみとなります。
自賠責保険の基礎知識 被害者請求のやり方
被害者請求の流れを説明します。
被害者請求は交通事故の損害が確定してから申請を行います。
STEP1:保険会社の特定
加害者が加入している自賠責保険の保険会社を特定します。交通事故証明書に記されていますので不明な場合は警察にお問い合わせください。
STEP1:請求書などを取り寄せる
保険会社の特定ができましたら、請求書などの書式を取り寄せましょう。
STEP3:被害者請求に必要な書類を集める
怪我が完治した、あるいは症状固定の診断を受けた後に、被害者請求に必要な書類を集めます。
STEP4:直接請求を行う
診断書や事故証明など必要書類を揃えたら、被害者は加害者が加入している自賠責保険の保険会社に必要書類を提出し、直接請求を行います。
STEP5:損害保険料率算出機構に提出
加害者が加入している自賠責保険の保険会社が書類に不備がないか審査を行い、調査機関である損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)へ送付します。
STEP6:損害保険料率算出機構による審査
損害保険料率算出機構は送付内容を審査し加害者が加入している自賠責保険の保険会社へ報告を行います。
STEP7:保険金の支払い
損害保険料率算出機構の調査結果を踏まえ、加害者が加入している自賠責保険の保険会社が支払基準に従って保険金を支払います。
自賠責保険の基礎知識 被害者請求の必要書類
被害者請求に必要となる書類は以下のとおりです。
事故の内容によって不要な書類もありますので、詳しくは加害者が加入している自賠責保険の保険会社にお問い合わせください。
【必ず必要な書類】
・ 支払請求書兼支払指図書
・ 請求者本人の印鑑証明書(被害者が未成年で親権者が請求する場合は、当該未成年者の住民票または戸籍抄本が必要)
・ 交通事故証明書
・ 事故発生状況報告書
・ 加害車両の自動車検査証、または標識交付証明書、届出済証の写し
【事故・症状に応じて必要な書類】
・ 診断書
・ 診療報酬明細書
・ 通院交通費明細書
・ 調剤報酬明細書
・ 後遺障害診断書
・ 死亡診断書または死体検案書
・ 付添看護自認書または看護料領収書
・ 委任状および委任者の印鑑証明(弁護士などに委任している場合)
・ 事業主の休業損害証明書(源泉徴収票添付)、納税証明書、課税証明書(取得額の記載されたもの)または確定申告書等
・ 戸籍謄本
・ レントゲン写真等
・ その他損害を立証する書類、領収書など
被害者請求を行うには、必要書類が多数必要となり手続きも煩雑なものになりますので、手続きなどがご不安だという方は弁護士に相談されることをおすすめします。
まとめ
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2020.12.09
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