交通事故と自動車保険⑨任意保険会社に治療費を打ち切りにされた場合
しかし、被害者のケガの治療経過によっては、保険会社から治療費の打ち切りを打診されることがあります。今後も治療を続けたい被害者は、打ち切りの要請にどう対応すればよいのでしょうか。
今回は、任意保険会社に治療費を打ち切られた場合の対処法について解説していきます。
交通事故のケガで治療費が打ち切りにされる状況とは
交通事故のケガで治療費の打ち切りを打診されるのは、保険会社が「これ以上治療費を支払う必要がない」と判断したからだと考えられます。なぜその判断に至るかというと、ケガの状態が「症状固定」であるとみなしているからです。
症状固定とは、これ以上治療を続けても症状の改善が見込めない状態をいいます。保険会社は症状固定までの治療費を支払うのが原則なため、支払い期間が長くなると「症状固定の時期ではないか」と言われ、治療費の打ち切りを打診されることがあります。
ただし、症状固定の時期はケガの症状によって異なります。
たとえば、交通事故のケガに多いむち打ちは、目に見えない症状が多く客観的な判断が難しい外傷です。そのため、むち打ちが後遺障害等級の認定を受けるには、治療内容や治療経過が重視されます。むち打ちにもさまざまな症状があるため一概には言えませんが、最短で6ヶ月、最長で1年半程度の治療を経てから症状固定と判断されるケースが多いようです。
打ち切りにされたからといって治療をやめる必要はない
加害者側の保険会社から治療費を打ち切りにされたとしても、そこで治療をやめる必要はありません。継続して治療が必要かどうかは医師が判断します。
そもそも症状固定も病院の医師が判断するものであり、保険会社が症状固定の時期を決めることはできません。医師から言われない限りはあくまで保険会社の見解に過ぎないため、症状固定と判断されたから治療を続けてはいけないということはないのです。
ただし、治療開始から半年以上が経過していて症状の改善が明確ではない場合は、症状固定として受け入れる判断も必要かもしれません。どちらにしても、治療を続ける・続けないの判断は個人が行うのではなく、経過を診てもらっている医師に相談するのが一番です。
医師が症状固定の時期ではないと判断し、治療の継続が必要な場合は、保険会社へその旨を説明してもらうことで、治療費の打ち切りが撤回される可能性があります。医師からの説明が難しい場合は、弁護士に交渉を依頼することも可能です。
治療費が打ち切りになった場合の対処法
「保険会社からの治療費は打ち切りになったけれど、今後も治療を継続したい」
このような場合は、被害者自身が加入する任意保険や健康保険を使って治療費を支払っていくことになります。また、治療を継続してもやはり改善の見込みがない場合は、後遺障害申請の検討も視野に入れる必要があるでしょう。
●被害者自身の任意保険を利用する
被害者自身が加入する任意保険に「人身傷害保険(人身傷害補償特約)」がついている場合は、被害者の保険を使って治療費を支払ってもらえます。また、保険を使っても自動車保険の等級は下がりません。人身傷害保険が適用されるか事案かどうか、ご自身が加入する保険会社へ問い合わせてみることをおすすめします。
●健康保険を利用する
交通事故のケガは、健康保険を使って治療していくこともできます。ただし、今回の場合は私傷病ではないため、「第三者行為による傷病届」を健康保険組合に提出する必要があります。
●後遺障害申請の検討も視野にいれる
交通事故によるケガが後遺障害として等級認定を受けると、加害者側の保険会社へ後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できます。損害賠償額は認定される1から14の等級によって異なり、等級の値が小さいほど(1級に近いほど)高額になります。
まとめ
交通事故でケガを負った場合、加害者側の保険会社へ治療費を請求できます。しかし、治療期間が長くなると症状固定と判断され、治療費の打ち切りを打診されることがあります。
症状固定の判断は医師がするものであり、保険会社がその時期を決めることはできません。たとえ治療費が打ち切りになってもその時点で治療をやめる必要はありませんが、被害者自身が加入する任意保険や健康保険を使って治療していくことになります。
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2020.12.22
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