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交通事故と自動車保険⑥任意保険基準の慰謝料について

交通事故の被害者は、加害者の保険会社に対して損害賠償を請求できます。自賠責保険から支払われる保険金には限度額が決められており、上限を超過する場合は相手の自動車保険(任意保険)から支払われます。

交通事故の慰謝料には3つの基準があり、保険会社が独自で決めている基準は「任意保険基準」といいます。交通事故の被害者は、適用される基準によって慰謝料額が大きく変わることを理解しておかなければなりません。

今回は、交通事故慰謝料の「任意保険基準」について、慰謝料相場や他の基準(自賠責基準、弁護士基準)との違いを解説します。

交通事故慰謝料の「任意保険基準」とは

交通事故が起きた場合、被害者のケガの治療費や慰謝料は加害者側が負担します。その際、交通事故の慰謝料として加害者に請求できるのは、「傷害慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類です。

 

自賠責保険は加入義務のある強制保険ですが、任意保険はあくまで「任意」であり、必ずしも加入が必要な保険ではありません。しかし、補償範囲が狭い自賠責保険だけではカバーしきれないため、自家用乗用車のおよそ8割が任意保険にも加入しています。

 

交通事故の加害者が任意保険に加入していた場合、相手の保険会社と示談交渉する可能性が高まります。任意保険の普及率からみても、交通事故ではほとんどの場合、相手の保険会社とやりとりすることになると考えておきましょう。

 

交通事故の慰謝料には基準があり、保険会社が独自に定める慰謝料基準は「任意保険基準」といいます。示談交渉の際に提示されるのは、相手側の保険会社が算定した任意保険基準の慰謝料であることが一般的です。

任意保険基準の慰謝料相場

任意保険基準の慰謝料相場について、傷害慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料の3つににわけてご紹介します。

●傷害慰謝料の相場

任意保険基準における傷害慰謝料は、入院・通院した月数に応じて算出します。現在は保険会社独自の基準で算出されていますが、かつては保険会社の間で統一された基準がありました。その名残から、今も旧基準を慰謝料の目安とする会社はあると考えられます。

 

旧基準をもとにした慰謝料相場は次の通りです。

入通院期間(例)

慰謝料相場

入院期間なし・通院期間2ヶ月

252千円

入院期間1ヶ月・通院期間3ヶ月

605千円

入院期間3ヶ月・通院期間6ヶ月

1197千円

 

 

●後遺障害慰謝料の相場

任意保険基準における後遺障害慰謝料は、後遺障害等級に応じて算出されます。後遺障害等級は後遺障害の程度によって114級にわけられ、慰謝料相場としては等級の値が小さくなるほど高額です。

 

交通事故のケガに多いむち打ちで後遺障害等級が認定される場合、12級もしくは14級が該当します。それぞれの慰謝料相場は次の通りです。

 

後遺障害等級

慰謝料相場(推定)

12

100万円

14

40万円

 

 

●死亡慰謝料の相場

任意保険基準における死亡慰謝料は、家庭内における被害者の属性によって変わります。

 

算出基準は保険会社によって異なりますが、おおよその慰謝料相場は次の通りです。

 

被害者の属性

慰謝料相場(推定)

一家の支柱

1,5002,000万円程度

配偶者・母親

1,3001,600万円程度

その他(子ども・高齢者など)

1,1001,500万円程度

 

交通事故の慰謝料は基準によって相場が変わる

交通事故の慰謝料基準には、「自賠責基準」や「弁護士基準」と呼ばれる算出基準もあります。任意保険基準の慰謝料相場は3つの基準の中では中間であり、自賠責基準が最も低く、弁護士基準が最も高額です。

 

交通事故の被害者が弁護士基準の慰謝料を請求するには、示談交渉を弁護士に代行してもらい、弁護士基準の慰謝料が適正であることを主張してもらう必要があります。相手の保険会社は任意保険基準の慰謝料を提示しますが、実際の事故と類似する判例をもとに根拠のある交渉を弁護士にしてもらえば、弁護士基準での慰謝料が適用される可能性は高くなります。

 

保険会社としては支払う保険金を少なくしたいため、被害者は提示された慰謝料が本当に適正なのか考えなければなりません。少しでも不安がある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

交通事故の慰謝料基準のひとつ「任意保険基準」は、任意保険会社が独自に算出します。示談交渉の際、加害者側の保険会社は任意保険基準で算出した慰謝料を提示するのが一般的です。

 

弁護士基準で算出される慰謝料は、慰謝料基準の中で最も高額です。弁護士は示談交渉に介入できる立場であり、過去の判例をもとに適正な慰謝料額で交渉してくれます。弁護士基準の適正な慰謝料を受けとるために、示談交渉は弁護士への代行依頼を検討するのがおすすめです。

 

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2020.12.14

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