「後遺障害の基本③|後遺障害診断書の役割」
特に後遺障害申請の際は、後遺障害診断書に記載された内容によって等級が決められるため、診断書の内容が非常に重要になります。医師に自覚症状を明確に伝え、必要な治療や検査はしっかりと受けておくことが大切です。
今回は、後遺障害診断書が必要な場面や診断書の役割について解説していきます。
後遺障害診断書とは
後遺障害診断書(自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書)とは、医師による診断・治療を受けている証拠であり、被害者の後遺障害にどのような症状や支障があるかを証明する書類です。
また、後遺障害診断書は、交通事故によるケガで残った後遺症を「後遺障害」として認めてもらう後遺障害申請の際に必要になります。さらに、加害者側との示談交渉や裁判の際にも、客観的な証拠として使用されています。
後遺障害診断書には、傷病名や治療を開始した日付、症状固定の日付、具体的な自覚症状、他覚症状、検査結果、今後の見通しなどの記入欄があります。後遺障害診断書を記入できるのは病院の医師のみであり、整骨院や接骨院では発行できません。
また、診断書は即事発行してもらえる場合もありますが、1週間から1ヶ月程度の作成期間を要することもあります。後遺障害診断書が必要な場合は、早めに医師へ依頼することをおすすめします。
後遺障害診断書が必要な場面
後遺障害診断書は、後遺障害の等級認定の際に提出する必要があります。
交通事故でケガを負った場合、整形外科や整骨院で治療を続けてもなかなか改善されず、今後も完治する見通しが立たないことがあります。治療の効果が期待できない状態を「症状固定」といい、その時期は医師の判断によって決められます。
症状固定後は保険会社からの治療費が支払われなくなりますが、症状固定は治癒ではなく、体に何らかの障害が残った状態といえます。損害賠償の区分では、症状固定前を「障害分」といい、治療費や通院費、入院慰謝料、休業損害などを請求できます。一方、症状固定後は「後遺障害分」として、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益が請求できるようになります。
ただし、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求するには、症状固定後も残る症状が「後遺障害」として等級認定を受けなければなりません。後遺障害等級は自動的に判断されるものではなく、損害保険料率算出機構に必要書類を提出し、審査してもらう必要があります。
後遺障害診断書は等級認定の申請時に添付しなければならない書類であり、症状を具体的に説明する客観的な証拠として使用されています。
後遺障害診断書の役割
後遺障害診断書は、病院の医師による治療や検査の結果、自覚症状などを証明する書類です。後遺障害の等級認定では、後遺障害診断書の内容をもとに審査が行われます。つまり、診断書の書面で後遺症の症状や程度を証明しなければならないのです。
書類の記載事項のみで審査が行われることを「書面主義」といいます。後遺障害診断書に記載のない症状に関しては、等級認定の際に考慮されることはありません。
診断書に漏れや不足があり、正しい後遺障害等級が認定されなかった場合、加害者から支払われる後遺障害慰謝料は大幅に減額されます。慰謝料相場は等級によって決まっているため、正しい等級が認定されなければ適正な損害賠償を受け取ることができないのです。
このように、後遺障害診断書は後遺障害の等級認定の際に非常に重要な役割を持ちます。特に、むち打ちなど客観的な判断が難しい症状は、レントゲンやMRI画像などで他覚的な所見が認められないことがあり、後遺障害診断書の内容が重要視されます。
適正な等級認定を受けるためには、弁護士に診断書の内容を確認してもらうことをおすすめします。すべての医師が後遺障害申請に詳しく、後遺障害診断書の作成に慣れているとはいえないため、交通事故に精通した弁護士に相談・依頼しておくと安心でしょう。
よって、後遺障害申請の際は、診断書に記載する内容を正確かつ具体的なものにするだけでなく、記入漏れがないように必要な情報はすべて記載してもらう必要があります。
まとめ
交通事故のケガが後遺症として残った場合、被害者は後遺障害申請を検討することになるでしょう。後遺障害診断書は後遺障害申請に必要な書類であり、後遺障害の等級を決める際に重要視されます。後遺障害が認められると、事故の加害者に慰謝料や逸失利益を請求できます。こうした損害賠償の金額は後遺障害の等級によって相場が異なるため、正確な診断書を提出して適正な等級認定を受ける必要があるのです。
事故なびでは、交通事故のケガや後遺症に詳しい全国の整骨院を検索できます。また、これまでに多くの交通事故被害者を救済してきた弁護士の先生を無料でご紹介しておりますので、交通事故でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
事故なびは、無料で交通事故にあった方の整骨院・接骨院探しをサポートしています。 24時間365日電話相談無料です。お気軽にご連絡ください。
2020.08.11
関連記事
-
2021.06.30
交通事故といえば、若い世代よりも高齢者の方が起こしやすいイメージを持つ人が多いでしょう。一般的に高齢ドライバーとは65歳以上の運…
-
2021.07.28
高齢者が関与する交通事故を少しでも減らすことができるよう、啓蒙と交通事故防止アドバイスを全5回にわたって解説していきます。 第5…
-
2020.10.06
交通事故の後遺障害②高次脳機能障害とは?症状や慰謝料相場を徹底解説!
当サイトでは全5回にわたり後遺障害の種類について紹介しています。 第2回目は高次脳機能障害についてです。 高次脳機能障害とはどの…