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「後遺障害の基本①|後遺症と後遺障害の違い」

交通事故でケガを負った場合、治療を続けても症状がなかなか改善せず後遺症が残る可能性があります。この「後遺症」とよく似た名称に「後遺障害」がありますが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

今回は、後遺症と後遺障害の違いについてわかりやすく解説していきます。

後遺症とは

後遺症とは、ケガや病気の治療が終わったあとも症状が残り、今後も治癒が見込めない状態をいいます。ケガや病気の症状によっては、継続的に治療を受けていたにもかかわらず、症状が改善しない状態は起こり得ます。

 交通事故によるケガの場合、整形外科や整骨院での治療を続けても症状が良くならず、体に痛みやしびれが残ったり、関節が動かしにくかったりすることがあります。

 ただし、交通事故が原因の後遺症だったとしても、その症状が「後遺障害」として認められなければ、事故の加害者に損害賠償を請求することはできません。つまり、「何も認定されない後遺症」と「後遺障害として認定される後遺症」とでは大きな違いがあります。

 よって、交通事故のケガで後遺症が残った場合は、後遺障害等級の申請手続きを進めていくことを検討しましょう。単なる後遺症では事故の加害者へ慰謝料を請求することはできませんが、後遺障害として認められれば請求可能です。

●交通事故の後遺症

交通事故の後遺症として最も多いのは、「むち打ち」と呼ばれる症状です。むち打ちは、自動車同士の追突や衝突により、首付近に不自然な強い衝撃を受けたときに発症します。

 

後遺症の症状はさまざまで、首の痛みやしびれ、頭痛、めまい、吐き気、耳鳴りといった症状があります。

 

後遺障害とは

後遺障害とは、後遺症のなかでも交通事故が原因と医学的に証明される症状、自賠責保険の補償対象である後遺障害等級に該当する症状をいいます。具体的には、以下のような要件を満たすものであれば「後遺障害」に該当します。

 ・後遺症の症状と交通事故に因果関係があること

・症状が医学的に証明されていること

・症状が長期にわたって続き、今後も回復する見込みがないこと

・症状によって労働能力が失われていること

・症状が自賠責保険の後遺障害等級に該当すること

 

後遺障害として認められるには、後遺障害申請をして等級認定を受ける必要があります。後遺症の症状が後遺障害に認定されると、交通事故の加害者へ「後遺障害慰謝料」や「後遺障害逸失利益」を請求できます。

支払われる慰謝料の相場は、症状が後遺障害等級のどの等級に該当するかによって異なります。等級は1級から14級まであり、数字が小さいほど症状の程度が重く、それに伴い慰謝料の相場も高額になります。

 ●交通事故の後遺障害

交通事故によるケガで後遺障害が認定されるのは、主に以下のような症状があります。

・むち打ち損傷

・高次脳機能障害

・低髄液圧症候群

・上肢機能障害

・下肢機能障害

・外貌醜状

 

後遺症と後遺障害の違い

後遺症は病気やケガの治療が終わったあとも残る症状であり、後遺障害は後遺症のなかでも後遺障害等級に認定される症状をいいます。よって、後遺症と後遺障害は異なるものであり、すべての後遺症が後遺障害として認められるわけではありません。

 また、交通事故が原因の場合、ケガの治療費や通院費、入院費などは交通事故の加害者に請求できます。しかし、後遺障害として認定されていない「単なる後遺症」の場合、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求することはできません。

 

交通事故のケガが後遺障害として認められれば、加害者へ後遺障害慰謝料や逸失利益の請求ができるため、被害者が受け取れる損害賠償の種類は多くなり、賠償金額は高額になります。ただし、後遺障害等級を受けるには手続きが必要であり、後遺症と交通事故の因果関係を医学的に証明しなければなりません。

 等級認定の可能性を高めるには、交通事故のケガや後遺症に詳しい弁護士に相談・依頼しましょう。痛みやしびれなど見た目ではわかりにくい症状がある場合、後遺障害診断書などの書面で後遺症の症状を説明する必要があります。等級認定には診断書の内容が非常に重要になるため、弁護士に助言をもらいながら手続きを進めていくことをおすすめします。

まとめ

後遺症と後遺障害はよく似た名称ですが、双方には明確な違いがあります。後遺症はあくまで症状なのに対し、後遺障害は後遺障害等級の認定を受けた症状をいいます。

 交通事故のケガでは、むち打ちや高次脳機能障害、外貌醜状などが後遺障害として認定される可能性があります。等級認定されれば加害者側へ後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できるため、後遺症が残った場合は等級申請を検討しましょう。

 

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2020.08.07

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