交通事故の被害者になった場合、自動車保険を利用してケガの治療や自動車の修理をしていくことになります。基本的には加害者側の保険を利用しますが、被害者にも過失があり相手の保険でカバーしきれない場合は、被害者側の保険も利用することがあります。被害者が利用できる自動車保険には、具体的に何があるのでしょうか。

今回は、交通事故の被害者が利用できる自動車保険の種類について、それぞれの補償内容や補償範囲を解説していきます。

交通事故の被害者が利用できる自動車保険には、主に以下の種類があります。

 

＜加害者が加入する保険＞

交通事故の被害者は、事故の相手である加害者側の保険会社へ損害賠償を請求するのが基本です。自動車の保険は大きく以下の2つに分かれます。

 

・自賠責保険：加入が義務付けられている強制保険

・任意保険：自賠責保険で補償しきれない部分をカバーする保険

 

＜被害者が加入する保険＞

交通事故の場合、どちらか一方にすべての責任があると判断されるケースは少なく、被害者であっても過失が認められるケースが多々あります。そのため、被害者側にも過失がある場合、ケガの治療費や自動車の修理費などを相手の保険金だけですべてカバーできるとは限らず、被害者側の任意保険を利用することも考えられます。その場合、任意保険の補償である「人身障害保険」や「搭乗者傷害保険」などが利用可能です。

 

●自動車保険以外に被害者が利用できる保険はあるの？

自動車保険以外にも、被害者が加入する健康保険を利用できます。

たとえば、加害者側の保険会社からの支払いが遅れたため、一時的に被害者が立て替えて支払いたい場合に健康保険が利用可能です。

 

また、職場への通勤を含め仕事中の交通事故であれば、労災保険が利用できます。

 

交通事故の被害者は、基本的に加害者側が加入する自賠責保険や任意保険を利用することになるでしょう。それぞれの補償内容や補償範囲は以下のとおりです。

 

＜加害者側の自賠責保険＞

自賠責保険とは、自動車やバイクを所有する者に加入が義務付けられている強制保険であり、無加入の場合は法律違反で罰則が科せられます。なお、加害者側の自賠責保険で補償されるのは対人のみであり、自動車の修理費は補償に含まれません。

 

加害者側の自賠責保険では、以下の3つが補償されます。

 

・傷害による損害：治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料などが補償される

・後遺障害による損害：逸失利益や慰謝料が補償される

・死亡による損害：葬儀費、逸失利益、慰謝料（被害者本人・遺族）が補償される

 

＜加害者側の任意保険＞

任意保険はドライバーに加入が義務付けられている保険ではありませんが、自賠責保険では補償されない内容や、限度額を超過した分をカバーしてくれます。自賠責保険では人身のみ補償されますが、任意保険では物損も補償の対象となります。

 

ただし、任意保険は強制ではないため、必ずしも交通事故の相手が加入しているとは限りません。その場合は、被害者側が加入する任意保険の「人身傷害保険」「搭乗者傷害保険」「無保険者傷害保険」などを利用することになります。

交通事故の被害者が利用できる保険は加害者側の自動車保険だけでなく、自分自身が加入する任意保険からも補償が受けられます。被害者側の任意保険が補償する内容は主に以下の3つです。

 

・人身障害保険

人身障害保険とは、契約した自動車の運転手やその家族が交通事故によって死傷した場合に治療費などが補償される保険です。この保険では、契約者側に過失があったとしても保険金を受け取れます。

 

・搭乗者傷害保険

搭乗者傷害保険とは、交通事故に遭った自動車の搭乗者が死傷した場合に治療費などが補償される保険です。人身障害保険同様に、過失割合によって保険金額が変わることはありません。

 

・無保険者傷害保険

無保険者傷害保険とは、交通事故の相手が任意保険に加入しておらず十分な補償を受けられない場合に利用できる保険です。保険会社によっては「無保険者傷害特約」の名称で利用されている場合もあります。

 

交通事故の被害者が利用できる自動車保険には、加害者が加入する自賠責保険・任意保険や、被害者自身の任意保険があります。また、自動車保険だけでなく、被害者側の健康保険や労災保険も利用可能です。

 

強制加入の自賠責保険と違い、任意保険には加入義務がありません。よって、交通事故の加害者が任意保険に加入していないケースも考えられますが、被害者側の任意保険にある「無保険者傷害保険」などでカバーできます。

 

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