① 損保会社の自動車保険に加入して交通事故に備えよう
今回は、損保会社の自動車保険に加入する必要性、交通事故の当事者に対して損保会社ができることをご紹介します。
損保会社の自動車保険は加入すべき?
損保会社(損害保険会社)が取り扱うのは、一定の偶発的なリスクによって生じた損害をカバーする保険です。「一定の偶発的なリスク」とは、予測できない交通事故や自然災害を指します。損害保険にはさまざまな種類があり、自動車保険や自賠責保険のほかには火災保険、地震保険、海外旅行保険、運送保険などがあります。
自賠責保険はすべての自動車・原動機付自動車の保有者に対して加入が義務付けられているのに対し、自動車保険はあくまで「任意」であり個人の判断に委ねられます。しかし、自動車ユーザーの大半が自賠責保険に加えて自動車保険にも加入しています。
●自動車保険・自動車共済の対人賠償普及率(2020年3月末)
自動車保険 |
自動車共済 |
合計 |
75.0% |
13.3% |
88.3% |
参考:損害保険料率算出機構『自動車保険の概況 2020年度』
上の表は、対人賠償保険における自動車保険・自動車共済の普及率を表したものです。対人賠償保険とは、交通事故によって他人を死傷させ損害賠償責任を負う場合に、自賠責保険で支払われる金額を超過する部分を補う保険です。
ほとんどの損保会社は対人賠償を「無制限」で設定しています。他人の死傷に対する損害賠償は非常に高額になるケースが多く、状況によっては億単位になることも珍しくありません。保険金の上限額が決められている自賠責保険だけでは心もとないため、交通事故の備えとして、さらには自分が加害者になってしまった場合の備えとして、ドライバーの多くが自動車保険に加入しているのです。
自賠責保険だけでは交通事故の十分な備えにはならない
自賠責保険に加えて損保会社の自動車保険にも加入すべき理由は、自賠責保険だけでは交通事故の十分な備えになるとはいえないからです。自賠責保険から支払われる保険金の限度額は次のように決められています。
損害の内容 |
支払限度額 |
死亡による損害 |
3,000万円 |
後遺障害による損害 |
75〜4,000万円(後遺障害の程度による) |
傷害による損害 |
120万円 |
参考:損害保険料率算出機構『自動車保険の概況 2020年度』
損保会社の自動車保険から支払われるのは、自賠責保険の限度額を超える部分です。交通事故の状況や被害者の状態によっては自賠責保険の限度額は優に超えてしまい、自動車保険に加入していなければ超過分は自己負担になります。
また、自賠責保険でカバーされるのは人身事故のみであり、物損事故は対象外です。モノに関しては自分の損害分はもちろん、相手の損害分に対しても自賠責保険からは支払われません。しかし、自動車保険には対物賠償保険や車両保険があり、物損に関する損害をカバーできます。
損保会社が交通事故の当事者にできること
交通事故の当事者に対し、損保会社ができることは次のとおりです。
●示談交渉の代行
損保会社の自動車保険には示談交渉サービスが付けることができ、交通事故の当事者に代わって損保会社が相手との示談交渉をおこないます。ただし、損保会社が示談交渉を代行できるのは「契約者に過失がある場合」のみです。当て逃げやもらい事故のようなどちらか一方のみに過失が生じる場合、自動車保険の契約者が過失ゼロの被害者であれば損保会社に示談交渉してもらうことはできません。
●弁護士による示談交渉
自動車保険の契約者に過失がない場合でも、弁護士であれば被害者の代理人として示談交渉をおこなえます。自動車保険には弁護士費用特約を付けることができ、これを利用することで弁護士費用をカバーできます。
●ロードサービスの手配
ロードサービスとは、車のトラブルが起きたときに現場に駆けつけて必要な措置をしてくれるサービスです。事故車のレッカー移動やバッテリー上がり、タイヤのパンクなどに対応し、損保会社によっては同乗者への帰宅費用や宿泊費用も支払われます。
まとめ
損保会社では偶然のリスクに対する保険を扱っており、自動車保険や自賠責保険は損害保険の一種です。自動車保険の加入は強制ではありませんが、自賠責保険だけでは補えない部分をカバーしてくれます。交通事故は自分がどんなに気をつけていても巻き込まれてしまうことがあり、車に乗るなら事故への備えが必要です。損保会社の自動車保険に加入し、予期できない事故に十分に備えておきましょう。
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2021.05.27