④高齢者が交通事故被害者になった場合の慰謝料や損害賠償はどうなる?
今回は、高齢者が交通事故被害者になった場合の慰謝料や損害賠償について解説します。
被害者の年齢によって慰謝料や損害賠償額は左右される?
高齢者が交通事故の被害者になった場合、慰謝料や損害賠償がどうなるのか気になる方は多いでしょう。しかし、原則として年齢によって慰謝料や損害賠償の金額が大きく左右されることはありません。基本的には、高齢者という理由だけで慰謝料が高くなることも、反対に慰謝料が低くなることもないと考えられます。
ただし、高齢者のケガは若い人よりも回復が遅く重症化しやすいため、治療費や入通院慰謝料は高額になる可能性があります。入通院慰謝料とは、交通事故のケガによって入院や通院が必要になった場合に請求できる慰謝料です。慰謝料には自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準があり、自賠責保険基準では1日あたり4,300円を基準に計算されます。
交通事故によるケガの治療費や慰謝料は、症状の程度や必要な治療期間から算出されるのが原則です。年齢によって金額が変動することはありませんが、高齢者のケガは長期化しやすいため、若い人よりも治療費が高くなることは考えられます。入院や通院期間が長くなれば、その分入通院慰謝料も高額になります。つまり、高齢者だから高額になるのではなく、ケガの症状や事故の状況などが金額算出の参考になると考えるのが自然でしょう。
高齢者が交通事故被害者になった場合の慰謝料の考え方
交通事故の被害者が高齢者であっても、慰謝料や損害賠償に関しては年齢に関係なく適正な金額を請求できるのが原則です。しかし、高齢者が被害者の場合、慰謝料額については若い人よりも若干低くなる可能性があります。
交通事故の慰謝料には、入通院慰謝料(障害慰謝料)、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3種類があります。このうち入通院慰謝料は入通院の日数から算出されるため、あくまで入通院の期間が金額に影響しており、年齢による差異はないものと考えられます。
しかし、機械的に算出される入通院慰謝料以外の慰謝料に関しては、高齢者であることが慰謝料額に影響するケースがままあるようです。若年者と高齢者で慰謝料額が大きく変わることはありませんが、今後に向けた救済の必要性を考えたときに、若年者の方がその必要性が高いと判断される可能性があります。
交通事故被害者が高齢者の場合、慰謝料額に関してはさまざまな考えがあり、どの考えが正しいということはありません。慰謝料額はケガの症状や事故の内容などによって算出されるのが原則ですが、被害者の年齢が慰謝料額の算出にまったく影響しないとは言い切れず、場合によっては若年者よりも若干低くなるケースがあるということです。
高齢者も休業損害や逸失利益は請求できる?
交通事故の損害賠償には、ケガの治療費や車の修理代といった実費(被害者が実際に支払った出費)だけでなく、本来得られるはずだった利益も含まれます。これを消極損害といい、休業損害や逸失利益が該当します。交通事故に遭わなければ得られた利益、交通事故に遭ったために失われた利益をいいます。
●高齢者の休業損害
交通事故の休業損害とは、事故によって仕事を休業したために得られなかった収入を指します。収入を得ていることが請求の条件になるため、仕事で収入があれば請求でき、収入がなければ請求できません。これは高齢者であっても同様です。
ただし、家事労働は経済的な価値が認められているため、仕事による収入がなくても主婦(主夫)は休業損害の請求が可能です。
●高齢者の逸失利益
交通事故の逸失利益とは、本来得られるはずだったにもかかわらず、事故が原因で得られなくなってしまった利益を指します。交通事故によって収入が減少したり、十分な就労ができなくなったりする場合は、高齢者であっても逸失利益を請求できます。ただし、年金のみで生活していた場合は、逸失利益を請求できない可能性が高いでしょう。
まとめ
高齢者が交通事故の被害者になったとしても、年齢が慰謝料や損害賠償額に大きく影響することはありません。ただし、過去の判例を見ると、高齢者が被害者になった場合の慰謝料は若年者よりも若干低くなる傾向があります。被害者の年齢と慰謝料額の関連性については判断が分かれるところであり一概には言えませんが、将来的な救済の必要性という観点から、年齢が慰謝料額に影響を及ぼすことはままあるようです。
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2021.07.16
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